東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1002号 決定
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〔決定理由〕二、改築の許否
1 取調べた資料によれば、申立人らの先代が昭和四年頃、相手方の先々代から本件土地を賃借し、申立人らと相手方はそれぞれ相続により賃借人、賃貸人の地位を承継したことが認められる。賃貸借契約書がないので、増改築を制限する旨の特約の存否は不明であるが、更新料の要求、地代増額請求等をめぐつてかなり以前から本件借地契約につき紛争を生じており、本件における相手方の態度からも、無断増改築をすれば当然紛争を惹起することが考えられるので、申立人らとしては紛争を避けるため相手方の承諾に代わる許可の裁判を求める利益を有すると認められる。
2 申立にかかる改築は借地の通常の利用上相当と認められる。……
三、附随の処分
1 本件改築は現存建物を全部取りこわし、建物を新築するものであるから借地法第七条により借地期間の延長を生じ、買取請求権行使の場合、地主の負担が増加する等の点を考えると、これによる利害調整のため附随の処分を考慮することが必要と認められる。
2 鑑定委員会は、財産上の給付として、申立人らから相手方に更地価格の六%にあたる七〇万六、九五六円を支払わせ、賃料を現在の月額二、二二五円(3.3平方米あたり三四円)から四、五〇〇円(3.3平方米あたり約七〇円)に増額することを相当としている。
3 右のうち財産上の給付の点について、鑑定委員会の意見は、建物建替えの場合、借地人は地主に対し更地価格の五%ないし六%の承諾料を支払う慣行が東京都内において存在することを前提としているのであるが、そのような慣行の存否、成熟度および金額算定の基準とされる更地価格または借地権価格に対する割合等も必ずしも明確ではなく、これをただちに裁判の基礎とすることの合理性には多分に疑問の余地があると考えられる。そこで当裁判所は、右意見を参考としつつ、なお前記のとおり本件借地契約に増改築を制限する旨の特約が存在するかどうかが不明確であること、残存期間も不明確ではあるが、本件改築によりこれが相当延長されることは明らかであること、新築建物がアパートで営利目的を有すること、賃料が昭和三七年二月以降増額されていないことその他本件にあらわれた一切の事情および後記のとおり賃料増額をあわせて命ずること等を総合考慮し、従前の裁判例にも徴し、本件においては財産上の給付として、鑑定委員会の評定による本件土地の更地価格(3.3平方米あたり約一八万円)の約二%にあたる二三万円を申立人らから相手方に支払うことを命ずるのを相当と認める。
4 賃料については、鑑定委員会の意見のとおり、月四、五〇〇円に増額することを相当と認める。(白石悦穂)
改築の内容
(現存建物)
木造瓦スレート交葺二階建居宅
一階 四三、五平方米
二階 三三、〇五平方米
右建物全部を取りこわし、次の建物を新築する。
(新築建物)
木造瓦葺二階建居宅兼アパート一棟
一階 一一八、八〇平方米
二階 一三〇、三五平方米